もものかんづめ
さくら ももこ[著]
月曜日を吹き飛ばせ!
月曜日です。
「土日祝休日」と「平日が休日」の仕事どちらも経験があるのですが、それでも月曜日は何となく世間の空気が重いと感じることがあります。
そんな「何となく憂鬱」という気分を吹き飛ばす、元気の起爆剤となるエッセイの紹介です。
人前で読むのはちょっと注意が必要かもしれませんので、お気を付けください。
初めてのエッセイ
「もものかんづめ」はちびまる子ちゃんで有名な漫画家さくら ももこ先生のエッセイです。
出会いは中学校の図書室。
実は、本書は私が初めてエッセイというジャンルに触れた一冊なのです。
そして「初めて読んだエッセイが、さくら先生で良かった」と思った一冊でもあります。
さくら先生と言えば漫画のイメージを強く持っている人も多くいるでしょうが、エッセイもかなりの数を出版されています。
爆笑エッセイの看板に偽りない内容と文章で、これほど笑えるエッセイは他に無いと思うほどに断トツで面白いです。
「もものかんづめ」は先生の学生時代のお話も多く収録された初期の作品であり、昭和の雰囲気を感じます。
しかし描かれるのが先生の日常だからか、文章の勢いとユーモアのセンスが卓越しているからか、古臭いとは感じない一冊となっています。
不謹慎な笑い
その中でも特に衝撃を受けたのが「奇跡の水虫治療」と「メルヘン翁」のエピソードです。
タイトルだけでも先生のセンスがほとばしっています。
「奇跡の水虫治療」は先生が16歳で水虫にかかってしまい、その顛末が描かれたエピソードです。
花の女子高生が水虫に罹ってしまったことは悲劇ですが、先生が感じた苦痛や試した治療法について書かれたお役立ち情報も得られるお話です。
このエピソードではさくら先生のお姉さんとの絡みが見られるのですが、それはまさにテレビで見ていた「ちびまる子ちゃん」の姉妹のやり取りそのものです。
その遠慮のない関係性は「ちびまる子ちゃんは本当にさくら先生なんだ」と思った、ちびまる子ちゃんとのリンクを感じる一場面でした。
そして「メルヘン翁」。先生のお祖父さんのお葬式の話です。
お葬式まで笑いに変えてしまう先生のセンスには脱帽しますが、中々不謹慎ですよね。
巻末の「その後の話」で「(さくらももこの作品は)もう読みたくない」とお便りが届いたとありますが、私はむしろ時間をおいて何度でも読み返したいお気に入りのエピソードです。
葬式の話がなぜこんなに面白いのかと考えましたが、「そんな感想も持つよなぁ」と先生に共感できてしまうこと、淡々とした事実描写の間に挟まるお笑い要素のギャップが良い味を出しているんじゃないかと。
先生のキッパリはっきりした目線によって、ともすれば不謹慎になりがちな話題でも嫌味を感じないエピソードとして成立しています。
よく考えたら凄いことです。
笑い is Power!
先生のパワフルなお人柄、時代の空気。
そういったものを感じる一番笑えるエッセイのご紹介でした。
この憂鬱な月曜日、お笑いでパワーをチャージして元気に行きましょう!
ではまた。
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