ヤンキー君と科学ごはん
岡 叶[絵] 樋口 直哉[監修]
今日のご飯は?
今日は花金。平日の終わりはいつもよりゆっくり晩御飯を楽しむ人もいるでしょう。
世間の休日こそ仕事という方、お世話になっております。
美味しいものを食べて英気を養ってくださいね。
しかしながら料理は正解が多いジャンルです。
コロナウイルスの流行を機に自炊が増えた人もいると聞きますが、いまいち美味しさに自信が持てないということはないでしょうか。
今日はそんなあなたに「料理の正解のひとつがが分かる本」をご紹介します。
美味しく優しい科学ごはん
「ヤンキー君と科学ごはん」は「となりのヤングジャンプ」連載中の、「台所の科学」をテーマにした料理漫画です。
岡 叶先生の作画による美味しそうな料理とかわいい絵柄のキャラクター達。それに加え、料理についての監修を料理研究家兼作家の樋口 直哉先生が担当されています。
気になるあらすじですが、高校で理科教師を勤める猫村 蘭は、問題児・犬飼 千秋の科学の補修を受け持つことになります。
反抗的な態度の千秋は「科学は役に立たない」とさぼり気味。
そんな千秋ですが、家では妹弟の食事を作る良いお兄ちゃんです。
千秋が料理について悩んでいることを知った蘭は、まずは科学に興味を持ってもらうため、科学知識を駆使して料理の悩みを解決していきます。
千秋の悩みは一般的な家庭料理ならではの有る有るです。
作中に出てくるレシピは、一人暮らしで料理をする人なら十分に再現できる難易度のものですし、
漫画なので調理中の様子をイメージしやすく、大事なポイントもよく分かる内容になっています。
また、単行本では一話ごとに樋口先生のコラムが掲載されており、作中のごはんのレシピについての深掘りもできます。
まさに補修プリントのように手厚い仕様の漫画兼レシピ本なのです。
ソースのように
2025年9月現在、7巻まで発売されている本作ですが、巻を重ねるごとに楽しく個性的なキャラクターがどんどん増えていきます。
第1巻から中々濃いメンツが出てきますが、個性が全くかぶらない、キャラの立った人物の書き分けは本作の魅力の一つです。
千秋は校内唯一のヤンキーで生徒からは遠巻きにされていますが、根は素直な男の子。料理を通じてクラスメイトと交流の切っ掛けも増え、時に戸惑いつつも新鮮な関係を築いていきます。
しっかり者の委員長、ヤンキーに妙な憧れを持つ陽キャ、千秋が個人的にツボる言動をする根暗くん等、クラスメイトをきっかけに千秋の世界はどんどん広がっていきます。
一方の蘭はやる気の欠片も見られないダウナー系教師。
極度の面倒くさがりで、千秋に料理を教える立場でありながら自分はサプリや完全栄養食、コンビニ弁当を中心とした食事生活を送っています。
しかしながら自分の得意分野である科学の実験では溌溂とした様子を見せ、授業が理解できない生徒にはむしろ嬉しそうな顔を向ける人気の先生でもあります。
目線が近く親しみやすい先生。良いですよね。
蘭の同僚の先生方もそれはもう個性的で、ホワイトな職場の要となる教頭、ビ〇ギャルのようなドラマを期待する進路指導教官、一人でも歌いだすドレッドヘアの美術教師といった生徒に負けず劣らず濃い先生方が登場します。
素直に「楽しそう」と思える学校ですし、ヤンキーという異物である千秋を必要以上に嫌悪する人も少ないので「この環境なら千秋は安心して成長できる」と、近所のおばちゃんのような目線で楽しんでいます。
広がるレパートリーと交流の輪
若人が料理と科学知識を通じて世界を広げていく成長譚であり、ある一つの正解の料理を教えてくれるレシピ本でもある本書。
少しだけレベルアップした料理を作りたい、料理の正解が知りたいという人にもお薦めです。
忙しい現代ですが、たまにはいつもより少しだけ手の込んだご飯に挑戦してみませんか?
ではまた。
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